私は20年以上勤めた製薬業界を離れ、45歳で未経験の畜産臨床獣医へ転職しました。
「なぜ安定した製薬業界を辞めて、未経験の仕事に挑戦したのですか?」
そう聞かれることがあります。
実は、最初から牛の臨床獣医になりたいという強い夢があったわけではありません。
製薬会社でさまざまな仕事を経験し、外資系製薬会社への転職も経験しました。しかし、「会社を変えても、このままでは同じことの繰り返しではないか」という思いが、次第に強くなっていったのです。
そこで私は、自分に合う働き方を求めて、45歳で未経験の畜産臨床獣医という新しい道へ踏み出しました。
正直に言えば、その選択が自分に合っているかどうかは、飛び込むまで分かりませんでした。
この記事では、私が製薬業界から畜産業界へ転職した理由と、その経験を通して気づいた「自分に合う仕事」の見つけ方について、実体験をもとにお話しします。
同じ業界では、自分は変われないと思った
大学卒業後、私は獣医師資格を活かして製薬会社へ就職しました。
当時は「資格を活かせる仕事に就けた」という安心感もあり、この業界でキャリアを築いていくものだと思っていました。
しかし、20年以上働く中でさまざまな仕事を経験しても、「本当に自分に合う働き方なのだろうか」という思いだけは消えませんでした。
製薬会社で20年以上、さまざまな仕事を経験した
製薬会社では、製造、開発、学術、営業支援、事業推進など、さまざまな部署を経験しました。
社内ジョブチェンジを繰り返し、新しい仕事に挑戦するたびに、
「今度こそ自分に合う仕事が見つかるかもしれない」と期待していました。
また、学術部門や営業支援では養豚場へ足を運び、ワクチン指導や疾病調査、病理解剖など、獣医師として専門知識を活かす仕事にも携わりました。
宮崎県で口蹄疫が発生した際には、防疫活動にも参加しています。
こうした経験は、現在の畜産臨床獣医としての仕事にも活きていますし、
決して無駄だったとは思っていません。
一方で、仕事の内容が変わっても、心のどこかにある違和感だけは消えることがありませんでした。

会社を変えても、自分は変われないと思った
転機となったのは、輸出プロジェクトに携わっていた頃です。
新しい事業に挑戦できる喜びを感じていましたが、会社のM&Aによって環境は大きく変わり、思い描いていた仕事を続けることが難しくなりました。
そこで私は、新たな挑戦を求めて外資系製薬会社へ転職します。
事業部長として迎えられたものの、管理職経験が十分ではないまま重い責任を担うことになり、
思うような成果を出せず、役職を下げて再スタートすることになりました。
退職を決意した後は、同業他社からの話もありました。
待遇だけを考えれば、製薬業界へ戻るという選択肢も十分にありました。
それでも、どうしても踏み出すことができませんでした。
「会社を変えても、結局また同じような仕事をするだけではないか。」
「今感じている違和感は、本当に会社だけの問題なのだろうか。」
そんな思いが、日に日に強くなっていったのです。
私は初めて、「どこへ転職するか」ではなく、「これからどんな働き方をしたいのか」を考え始めたのです。

なぜ牛の臨床獣医を選んだのか
製薬業界を離れると決めたとき、次はどこへ転職するかではなく、
「これからどんな働き方をしたいのか」をゼロから考え直しました。
同じ獣医師でも、活躍できる分野はさまざまです。
私は
「どの仕事なら長く続けられるだろう」
「どの仕事なら自分らしく働けるだろう」
という視点で、一つひとつ可能性を検討していきました。
獣医師として、もう一度現場に立ちたかった
製薬会社時代も、獣医師資格を活かす場面は数多くありました。
学術部門や営業支援では養豚場を訪問し、ワクチンの指導や疾病調査、病理解剖などに携わりました。
また、宮崎県で口蹄疫が発生した際には、防疫活動にも参加しています。
しかし、それらはあくまで製薬会社の立場から畜産現場を支える仕事でした。
牛や豚を診察し、治療し、その後の経過まで責任を持って見届ける「臨床獣医」として働いた経験はありませんでした。
学生時代には臨床へ進まなかった私ですが、40代になって初めて、
「本当の意味で、獣医師として現場に立ってみたい」
という気持ちが強くなっていったのです。
自分に合う働き方を考えた結果だった
とはいえ、「牛の臨床獣医しか考えていなかった」というわけではありません。
養蜂の世界にも興味がありましたし、他の獣医分野についても検討しました。
その中で私が重視したのは、「自分が長く続けられる働き方かどうか」ということです。
製薬会社時代に畜産業界と関わる中で、食を支える仕事の大切さを実感していました。
もし現場へ戻るなら、社会の生産を支える仕事に携わりたい。
そんな思いから、最終的に牛の臨床獣医という道を選びました。
もちろん、その時点では「この仕事が自分に合っている」という確信があったわけではありません。
むしろ、
「やってみなければ分からない」
というのが正直な気持ちでした。
それでも、自分で選んだ道だからこそ、一歩踏み出してみようと思ったのです。
未経験転職は想像以上に厳しかった
牛の臨床獣医という道を選んだからといって、すぐに転職先が決まったわけではありません。
45歳という年齢に加え、牛の診療経験はゼロ。
転職活動では、自分が想像していた以上に「未経験」という壁の高さを実感しました。
それでも最後には、一社だけ私を受け入れてくれる牧場と出会うことができました。
今振り返ると、採用を左右したのは、これまでの経験だけではなかったように思います。
門前払いの連続
転職活動を始めると、多くの牧場からは「臨床経験がない」という理由で断られました。
牛の臨床獣医は、命を預かる仕事です。
経験者が求められるのは当然であり、45歳で未経験という条件は決して有利ではありませんでした。
「今さら未経験の仕事に挑戦するなんて無理だ。」
そんな言葉を耳にすることもありました。
それでも私は、「年齢だけで可能性を諦めたくない」という思いで応募を続けました。

採用されたのは「経験」ではなく「姿勢」だった
もちろん、経験があるに越したことはありません。
しかし私には、それまで製薬会社で培ってきた知識や経験とは別に、「ゼロから学ぶ覚悟」がありました。
面接では、自分に臨床経験がないことを隠さず伝えました。
そのうえで、
「これまでの経験を活かしながら、一から学び直したい。」
「長く現場で成長し、牧場に貢献できる獣医師になりたい。」
という思いを、自分の言葉で率直に伝えました。
後になって振り返ると、採用してくださった牧場は、経験の有無だけではなく、私の学ぶ姿勢や将来へのビジョン、そして正直さを評価してくださったのだと思います。
未経験だからこそ、自分に足りないものを認め、学び続ける覚悟を持つこと。
それが、45歳で新しい一歩を踏み出せた理由の一つだったのかもしれません。
やってみて初めて、自分に合う仕事だと分かった
転職する前、「牛の臨床獣医が自分に合う仕事なのか」と聞かれたら、正直に言って分かりませんでした。
製薬会社で畜産業界と関わった経験はありましたが、実際に牛を診療し、毎日牧場で働いたことはありません。
だからこそ、この転職は大きな挑戦であり、不安もありました。
しかし、実際に現場へ飛び込んでみると、それまで想像もしなかった充実感を得ることができたのです。
牛の仕事は、自分が思っていた以上に面白かった
牛の臨床獣医として働き始めると、毎日が新しい発見の連続でした。
病気を治療するだけでなく、繁殖を支え、新しい命の誕生に立ち会う機会もあります。
子牛が無事に生まれた瞬間の喜びや、農家の方と一緒に牛の成長を見守る時間は、製薬会社では味わえなかったやりがいでした。
また、畜産は私たちの「食」を支える仕事です。
自分の仕事が社会の生産につながっていることを日々実感できるようになり、「誰かの役に立っている」という手応えを持ちながら働けるようになりました。
そして何より、牛と向き合う時間そのものが楽しく、気づけば毎日夢中になって仕事をしていました。
「もっと早くこの世界に飛び込んでいれば良かった。」
そう思えるほど、自分に合った仕事と出会えたのです。

飛び込む前には分からなかった
今だからこそ言えることがあります。
それは、自分に合う仕事かどうかは、始める前には分からないということです。
転職前の私は、「この仕事なら絶対にうまくいく」という確信を持っていたわけではありません。
むしろ、「自分に合わなかったらどうしよう」という不安の方が大きかったと思います。
それでも、自分で考え、自分で選んだ道だからこそ、一歩踏み出してみようと決めました。
結果として、その挑戦は私にとって人生の大きな転機になりました。
もしあのとき、「自信が持てるまで待とう」と考えていたら、今の私はありません。
だから私は、「自分に合う仕事」を探している方へ、まずは完璧な答えを探そうとしなくてもいい、とお伝えしたいのです。
考えているだけでは見えないことがあります。
実際に一歩踏み出して初めて見えてくる景色もある
――それが、私自身の転職で得た一番大きな気づきでした。

40代でキャリアチェンジを考えている方へ
私の転職経験を振り返ると、「もっと早くこの仕事を知っていれば」と思うことがあります。
一方で、あの20年以上の回り道があったからこそ、自分に合う働き方を見つけられたのも事実です。
もし今、40代・50代でキャリアチェンジを考えているなら、私の経験が少しでも参考になれば幸いです。
「合う仕事」は考えるだけでは見つからないこともある
転職を考え始めると、多くの人はインターネットで情報を集めたり、口コミを読んだりしながら、「自分に合う仕事は何だろう」と考えます。
もちろん、情報収集は大切です。
しかし、情報だけで「自分に合う仕事」を見つけることには限界があります。
私自身も、牛の臨床獣医という仕事が自分に合っているとは、転職するまで分かりませんでした。
実際に現場へ飛び込み、牛と向き合い、毎日仕事を続ける中で初めて、
「この仕事が好きだ」
「この働き方なら続けられる」
と実感できたのです。
考えることも大切ですが、
時には小さくても行動してみることでしか見えてこない景色があります。
自分に合う仕事は、年齢ではなく挑戦で見つかる
45歳で未経験の仕事に挑戦したとき、多くの人から「その年齢では難しい」と言われました。
私自身も、不安がなかったわけではありません。
それでも一歩踏み出したことで、今では
「もっと早く挑戦していれば良かった」
と思える仕事に出会うことができました。
だからといって、誰にでも転職を勧めたいわけではありません。
大切なのは、「今の仕事を辞めること」ではなく、
「自分はどんな働き方をしたいのか」を真剣に考え、
その答えに向かって行動することです。
年齢だけを理由に可能性を閉ざしてしまうのは、
もったいないことだと私は思います。
自分に合う仕事は、最初から見つかっているものではありません。
悩み、考え、そして一歩踏み出す中で、少しずつ見えてくるものなのだと、
私は自分自身の経験を通して学びました。

まとめ
私は20年以上勤めた製薬業界を離れ、45歳で未経験の畜産臨床獣医へ転職しました。
振り返ると、この転職は「絶対に成功する」という確信があって決断したわけではありません。
むしろ、「やってみなければ分からない」という気持ちで飛び込んだ挑戦でした。
結果として、自分に合う仕事と出会い、今では毎日やりがいを感じながら働いています。
だからといって、「思い切って転職しましょう」と伝えたいわけではありません。
私がお伝えしたいのは、「自分に合う仕事は、考えるだけでは見つからないこともある」ということです。
もちろん、勢いだけで転職するのはおすすめできません。
一方で、「100%の確信が持てるまで動けない」と考えていると、新しい可能性に出会う機会を逃してしまうこともあります。
もし今、「自分に合う仕事が分からない」「このままでいいのだろうか」と悩んでいるなら、まずは自分自身の価値観や強み、これからどんな働き方をしたいのかを整理することから始めてみてください。
その小さな一歩が、将来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

まずは頭の中を整理してみませんか?
転職するかどうかを急いで決める必要はありません。
大切なのは、「何を選ぶか」よりも、その前に自分が本当に望んでいる働き方を整理することです。
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あなたの考えを一緒に整理しながら、これからの選択肢を見つけるお手伝いをします。



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